フィクションなどから拾う情報処理用語? その148 プロ根性(必殺仕掛人)

必殺仕掛人 第6話 「消す顔消される顔」(脚本:山田隆之、監督:松本明 (C) 松竹)より

今回は藤枝梅安の表の顔と裏の顔のプロ根性が見られる話なのだが、今回取り上げるのは表の顔の話である。実際は裏の仕事にも絡んでいるけどね。

さて藤枝梅安は火の見櫓でまったりしていた。そこへやってきたのは岬の千蔵。何か用事があるらしい。だが梅安は無視を決め込んだ。

岬の千蔵「梅安先生。梅安先生。おかしいなあ。どこ行っちゃったんかなあ。」

そして

岬の千蔵「くそ坊主。藪医者。」

と酷いことを言い出したので流石の梅安もお灸を据えたくなったのか、火の見櫓の下へ岬の千蔵が来たところで煙管を下にして火のついたタバコの塊を岬の千蔵の頭の上へ落としてしまった。

岬の千蔵「あーっち! あっちー。火事だ? 火事だあ。火事だあ。」
藤枝梅安「バカ。あたしだよ。」

流石の千蔵も気がつき、藤枝梅安と話をした。とそこへ妙(田代千鶴子)と直吉(石山律)が夫婦連れ立ってやってきた。最初は妙目当てに見ていた梅安と千蔵だったが直吉は目が見えないらしい。お寺へ願掛けのためにやってきたのだが、献身的に尽くす妙に対して直吉はヤケを起こして、つい乱暴に応じてしまった。それを見て

藤枝梅安「あの綺麗な人に酷いことするなあ。」
岬の千蔵「あんな亭主、ぶっ殺してやる。」
藤枝梅安「ここはお前の出る幕ではない。殺しは私の専門だ。」

と物騒なことを言ってから、梅安は妙と直吉に近づいた。

藤枝梅安「私、鍼医者の藤枝梅安と申す者でございます。」
妙「お医者様。」
藤枝梅安「お見受けしたところ、目が御不自由なようで。」
直吉「ほっといてくれ。どうせ医者代など払えない貧乏人だ。」
妙「いいえ、どうかみてやってくださいまし。」
直吉「お妙。きっと、仏様のお引き合わせに違いありません。先生、お願いします。」

と言うわけでいつの間にか長屋に上がり込み、千蔵も尾行していたが、兎に角、いつの間にか、こんなことまでいうのである。目が見えなくなった原因(肩にある古傷)まで見つけた上で

妙「お願いでございます。どうか、うちの人を助けてやってくださいまし。」
藤枝梅安「そうですなあ。では鍼を打ってみましょうかな。」

となり

藤枝梅安「お内儀、医は仁術と申しましてな、金のことなど心配しなくてもいい。」

とまで言い切ってしまったのであった。まあ元々、表稼業では裏稼業で大金をもらって食い道楽などに費やしてしまう事もあり、こういう顔を見せていたのであるが、後々、裏稼業でもこういう顔を見せるようになる藤枝梅安先生であった。