転勤?(必殺仕置人)

必殺仕置人 第19話「罪も憎んで人憎む」(脚本:國弘威雄、監督:蔵原惟繕 (C) 松竹)より

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第19話「罪も憎んで人憎む」1973.8.25

 大飢饉、飢える民衆。街には死者溢れかえる。当然の如く暴動起こり、鉄らも打ち毀しに加わり米を奪う。その米で握り飯パーティ中、無宿人狩りの手が入り男たちは連れ去られる。老中・秋山但馬守と金座・後藤が組んでの小判改鋳に必要な金を佐渡で掘らせるための強引な人足集めであった。囚人の中に黙し語らぬ青年あり、これがなんと後藤の息子・精一郎。父の非道に耐えかね政治結社・水明社に身を投じていたのだった。
鉄と錠を逃がす算段を講じるうち佐渡送りは早められ、夜中唐丸駕籠の列がゆく。主水は全てを賭して仲間を救う覚悟を定めるが、駕籠に老中に対抗する勢力の斬り込み、精一郎を奪ってゆく。どさくさに鉄と錠の駕籠の戒めはずし逃がす主水、精一郎を追うよう示唆。
救出された精一郎は水明社の面々に星野淡路守を老中に据え精一郎に金座を継がせるつもりであることを聞かされ、理想とのギャップを知る。そして直後、父も同意の上の老中の刺客が襲いかかり精一郎は重傷を負う。苦しい息の下彼が告白したのは小判の混ぜ物で利ざやを稼ぎボロ儲けの金座のやり口であった。
老中と後藤を消さねば自分が危ないと起つ鉄と錠、精一郎の言い残した小判師の監禁場所へ潜入、まさに小判師を始末しようとしていた老中たちを仕置。
*嬉々として打ち毀しに参加し、とても持てぬ量の米をかっさらおうとする鉄の姿が傑作。また、老中を仕置に赴く際叫ぶ「絶対佐渡へは行かねぇぞ」の言の激しさ、帰りに小判ぼろぼろ落としながら逃げてゆく鉄の姿は感動的。また、仲間の危機に際し瞬時に命を投げ出す決意を固める主水の珍しい姿が拝める。*権高く不浄役人の主水に接するとても偉そうな老中・秋山に伊丹十三、一癖ありそうなワルが絶品。

ロケ地
・おきんが後藤の小判師が獄門になった話を主水に告げる、大沢池木戸前。
・北町奉行所、大覚寺大門。
・刺客にやられた精一郎を担いで逃げる鉄と錠、御殿川落ち口付近。
・金座、大覚寺明智門。

今回は後のシリーズとは違って仲間のために奮戦する中村主水が見られる。主水は鉄達の打ちこわしにも加担し、奉行所の連中がやってくると知ると鉄達に伝えたり、鉄達が無宿人狩りで捕まると何とか逃がそうと奔走し、後藤精一郎(川口恒)が捕まっていることをネタに後藤庄三郎(加藤武)と老中 秋山但馬守(伊丹十三)がいるところに乗り込んだりする。また念仏の鉄が佐渡島へ送られた経緯が女犯による不義密通だった事(鉄は惚れあったと主張)が明かされるなど見所満載である。今回は悪事は無宿人を捕まえて強制的に佐渡へ送られて金堀人足にさせられるというかなり悪どいもの。念仏の鉄と棺桶の錠は否応なく仕置に関わることになってしまった。

念仏の鉄「俺は絶対佐渡へは行かねぇぞ、絶対に行かねぇぞ。」

というセリフが象徴的なのだが、実際は2話後に行く事になるんだなあ。後藤をやるのが鉄で秋山をやるのが錠。なお今回、おひろめの半次は登場しない。最後はおきんのこのセリフで締めくくられた。

鉄砲玉のおきん「どんどん食ってどんどん仕置してピンピン生きて行きましょう。」

必殺仕置人は登場する悪党は酷い連中ばかりだが、本当に「仲良し5人組」という感じなんだよねえ。