モデル(必殺仕置屋稼業)

必殺仕置屋稼業 第9話 「一筆啓上 偽善が見えた」(脚本:保利吉紀、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

モデルは色々な意味があるけど単語は英語もドイツ語も model である。

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第9話 一筆啓上偽善が見えた 1975.8.29

 大奥をネタにして黄表紙を書いた戯作者・蛙亭文蝶に伸びる魔手、悲惨な経過のあとおためごかしで近づく大奥出入りの貸本屋は、実は隠密回り。そのうえ、意向に沿わぬ戯作者を処分したい版元の手先でもあった。

 ロケ地、貸本屋・孫兵衛が赴く大奥七ツ口、大覚寺宸殿裏手回廊。
*文蝶とつながりのあった市松、後になってこれをチームに明かすくだりは興味深い。そっけないふうに描かれていた市松の素顔が徐々に剥がれてゆく経緯はさりげなく表現されており、人物像を大事に描く脚本が冴えを見せる。*主水の殺しのシーン、孫兵衛に抜かれた脇差も取り返し振り下ろす演出がなかなか。

以上があらすじ。蛙亭文蝶(寺田農)が戯作者で被害者。手鎖の刑を受けて主水がその改め係を村野様に命じられる。手鎖の刑を受けても頭の中には話のタネが残っているという文蝶。その文蝶の世話を甲斐甲斐しく行なう妻のおきく(津田京子)だったが、早速魔手が伸びる。清太(野口貴史)と三次(須賀良)に凌辱されるのだが、実は文蝶とも顔馴染みの貸本屋孫兵衛(長谷川明男)の手のものだった。この孫兵衛は版元江戸屋(天王寺虎之助)の手先だった。後に鉄眼を演じる寺田農だが前作の必殺必中仕事屋稼業では助っ人の仕事屋を演じて今回は被害者役。個性的な役が多いが今回も存在感を示している。

なお、文蝶に市松は仕置屋の存在を仄めかす。そして文蝶はおこうの元へ出向くのだ。ということは市松とおこうはやはり顔見知りだったのかもしれない。さて文蝶と市松との関係は次の通り。

中村主水「おめえももったいつけねえでどういう知り合いか喋ったらどうなんでえ。」
市松「あのかみさんは亭主の本に載せる挿絵を描いているんだ。ここに文蝶の本はねえのかい。」
印玄「あるよ。(と市松に投げて渡す)」
市松「(パラパラとめくって挿絵を示し)この男に見覚えはねえかい。」

主水は市松が挿絵のモデルであることを知るのであった。最終的に殺しの分担は次の通り。

  • 中村主水:孫兵衛
  • 市松:清太
  • 印玄:三次
    捨三が彼を屋根の上に登らせる。そして印玄が背中を突いて屋根から落とす。