座興(必殺仕置人)

必殺仕置人 第20話 「狙う女を暗が裂く」(脚本:鈴木安、監督:田中徳三 (C) 松竹)より

座興が情報処理に関係があるのかどうかは微妙だが宴会の席での座興はよくある話。往々にして人を笑い者にした人は「軽い気持ち」で行なうのだが、笑い者にされた方は重く受け止めるというのは良くある話である。私もそういう目に遭った。まあ、暴走するのはどうかとは思うが同情の余地はあるだろう。さてあらすじは次の通り。

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第20話「狙う女を暗が裂く」1973.9.1

 かんのん長屋に逃げ込んできた殺人鬼・鬼寅、おきんの部屋へ入り込み血包丁を突きつけ脅す。手当てなどするうち同郷であることが知れ急速に心通わせる二人、しまいに鉄と錠も事の訳を聞くことに。
一年前、座敷料理に呼ばれた彼は席にいた芸者・蝶丸に岡惚れ、入れあげた挙句身請けを理由にあっさりと別れを申し渡され逆上、店の若いのにヤキ入れられるも恋情已み難く上方へ出て五百両の算段つけて江戸に帰還。しかし芸者に聞かされたのは、堅物の彼を蝶丸が籠絡できるかという酒席の見世物の座興だったという真実だった。
捕り方の手回り、寅吉は逃がす手段を考えている鉄を尻目に、おきんが止めるのも聞かず町方の人数に身を投じ斬殺される。おきんに遺した「今度生まれてくるときはあんたのような」の言葉が哀切。その場から寅吉が殺し残した一人に向かう鉄と錠。誰何された鉄は「鬼寅だ」と言い放つ。
*鬼寅が立てこもるおきんの部屋でほぼ全てが進行する趣向。さしたる悪事を働いていない富商たちが仕置される伏線に、寅吉のことを全く覚えておらず犯行動機も判らないというくだりが描かれる。社会の最底辺で生きる鉄らにとってまごころを踏み躙ることは殺しと同様の悪事という解釈か。

鬼寅こと寅吉(夏八木勲)が今回の頼み人にあたる板前なのだ。飛騨の出身で鉄砲玉のおきんは高山出身なのだそうだ。江戸っ子じゃないじゃん、おきん姐さんよ。まあそれは瑣末な指摘に過ぎない。寅吉は蝶丸(真屋順子)に惚れ、借金したので身請けされるかもしれないと言われて上方の堺へ行って一年かけて五百両の算段(要するに借金)つけて江戸に戻ってきたが、全ての話は座興でついた嘘だったというオチ。両替商 坂倉屋(清水彰)と和泉屋(沢村宗之助)と伊勢屋(郡司良)は褒美に蝶丸に百両渡した。要するに寅吉は笑い物にされていたのだ。それに激怒した寅吉が蝶丸達を殺したというのが真相だったのだ。ところが板倉屋達はきれいさっぱり忘れ去っていたのだから本当に酷い。鬼寅は和泉屋と伊勢屋を殺していたが、板倉屋は生き残っていた。

というわけで鉄と錠が鬼寅の代わりに仕置に出動。仕置料は「鬼寅は私が見つけたんだ」と泣きながら叫んだおきんに渡された(?)賞金の五両(らしい)。錠は板倉屋の手代の留造(御影伸介)を殺し

板倉屋「お前は誰だ。」
念仏の鉄「鬼寅だ。」

なお今回はおひろめの半次も中村主水も登場しない。スケジュールの都合で出さなかったのかもしれないが、いなくても成立するから出さなかったのかもしれない。