カット(あまちゃん)

UNIX(like OS)には cut コマンドがあって、色々と切ってくれるのである。

あまちゃん 第16週「おらのママに歴史あり 2」第92話(脚本:宮藤官九郎、演出:梶原登城 (C) NHK)より

天野アキ(のん)が出演したドラマの放映日になった。天野家はハードディスクレコーダーを購入していた。スナック「梨明日」はユイに任せているのだが、リアスにいるのは小田勉(塩見三省)、磯野心平(皆川猿時)、吉田正義(荒川良々)といった面々。磯野はユイちゃん推しだからそこにいるのである。勉さんはいつもの習慣で吉田は業務もあるからだろう。大吉(杉本哲太)は春子(小泉今日子)にプロポーズしたこともあって天野家にいた。天野家には大勢の人が集まっていた。スナック「梨明日」はドヨーンとした雰囲気で

吉田正義「静かだな。違う店みてえだ。」

そして水割を頼んだのだが、氷をコップに入れる音がするだけ。

吉田正義「ごめん、限界。」

ついに吉田はテレビをつけてしまった。天野家には色んな人が集まってきて例の場面を待っていた。象を模ったジョウロを頭に乗せた男(元ネタは名前ほど幸せではないラッキィ池田だろう)などがインドのタージマハールの前で踊る(バイクを買い取る店の)CMが流れた後、ついにアキの出た場面になった。鈴鹿ひろみ(薬師丸ひろ子)が演じる、双子を妊娠したとわかったという弁護士がマンションの廊下を歩いていた。

天野アキ「もうすぐ出てくる。」

帰省していた天野忠兵衛(蟹江敬三)が春子を呼び寄せた。そして問題の場面になった。鈴鹿ひろみが島田の部屋の呼び鈴を押した。天野アキが出てきた。またアップになる鈴鹿ひろみ。呼び鈴を何度も押している。そしてCMに突入。あれ、セリフは? 一同、唖然。天野夏(宮本信子)が口を開いた。

天野夏「今あ、どこさいた?」
熊谷美寿々(美保純)「向かいの部屋から出てきたの、だよねえ。」

アキは悟った。カットされたのだ。それをユイも観た。水口も観た。

水口琢磨「見たよ。セリフなかったね。ふふ。でも、そう言うのはよくあることだから。」
天野アキ「そうなんですか?」
水口琢磨「台本ちょっと長かったから、カットされちゃう気がしてたんだよねえ。」

水口は慰めたつもりだったのだろう。なお夏は春子と一緒にアキが出た場面を何度も再生しては喜んでいた。だがアキはショックを受けた。

天野アキ「やっぱり、私の芝居がよくなかったんですよねえ。」
水口琢磨「違う、違う。」
天野アキ「40回もNG出したからですよね。」
水口琢磨「アキちゃん、いちいちそんな風に反応してたら芸能界じゃやっていけないよ。」

アキが水口と電話で話す様子をチラッと見る春子であった。