慰留(あまちゃん)

あまちゃん 第16週「おらのママに歴史あり 2」第93,94話(脚本:宮藤官九郎、演出:梶原登城 (C) NHK)より

帰省したアキ(のん)は1月7日になっても谷中の合宿所には来なかった。トップにいた有馬めぐ(足立梨花)が国民投票で奈落に転落したことにより合宿所に来たことでこの問題がクローズアップされる形になった。因みに喜屋武エレン(蔵下穂波)は既に帰省から戻っていた。その頃、アキは海女カフェで働いていた。すっかり自信を失っていたのである。大吉は潮騒のメモリーズ再結成だと邪念を抱く有様であった。またアキが落ち込んでいることを春子はさりげなくユイに伝え、ユイは申し訳ない気持ちを抱いたようだ。アキは水口からの携帯にもきちんと出なくなっていた。アキもユイも一緒に上京すべきだったと思っていたようである。

そして1月8日、アキは忠兵衛(蟹江敬三)も漁に出るかどうかで悩んでいる話を聞いた。そこへ水口琢磨が天野家を尋ねてきた。

天野アキ「ジェ。」
水口琢磨「なぜ、なぜ出ない。」

だから直接やってきたのである。

水口琢磨「出て、電話に。出られなかったら、すぐ折り返して。」

アキは謝罪した後

天野アキ「え、そのためにわざわざ東京からいらしたんですか?」

それだけではもちろんないのだが

水口琢磨「いや。明けましておめでとう。」

なぜかこのドラマはこういう風に横道にそれちゃうんだよねえ。忠兵衛にも挨拶した後、水口は本題に入った。

水口琢磨「いつ帰るの?」
天野アキ「わがんね。」

これが真の目的である。さて水口より遅れて長内六郎(でんでん)がやってきて忠兵衛相手に漁へ出るように慰留もとい説得を始めたのだが、ややこしくなるので割愛しよう。

水口琢磨「みんな待ってるよ。」
天野アキ「おらの代わりなんていくらでもいるべ。」

そして

水口琢磨「バカなこと言ってるんじゃないよ。アキちゃんね、GMTには君の力が必要なんだよ。」
天野アキ「ウソだ。頭数さえ揃えば良いと思ってるくせに。」
水口琢磨「そんなこと」
長内六郎「思ってねえよ。」

なお六郎の言葉は忠兵衛に向けて言われたものだ。ややこしくなったので

水口琢磨「うるさいなあ。こっち先に先に済ませていいですか。」
長内六郎「はいはい。」

六郎は一旦、「席を外した」のだが

天野アキ「わざわざ来たんなら、オラじゃなくてユイちゃん連れてったら、どうだ。」
水口琢磨「え?」
天野アキ「可愛い方が目当てだべ。だったら可愛い方、連れて行って可愛くプロデュースすればいい。」

この強硬な姿勢に対して水口はこう言った。

水口琢磨「留守電聞いてない?」

天野忠兵衛は何かを悟ったようだったが

天野アキ「留守電?」
水口琢磨「マネージャーからの電話には出ない、折り返さない、留守電聞かない。タレント失格。」

ここまで言われてアキもようやく気がついたようである。

天野アキ「すいません。」
水口琢磨「すいませんでなくて早く聞いて、今聞いて、今。」

ここで待ちくたびれた六郎が口を開いた。

長内六郎「直接、喋ったらいいべ。」

だが

水口琢磨「いやだ。もう一回同じことなんて言えない。昨日のテンションを超えて持ってけないし。ほら、早く聞いて。」

実は理由はそれだけではないのだが、兎に角、アキはガラケーで留守番電話を再生した。メッセージは16件。

天野アキ「ジェジェ。」

と言うわけで再生された。まず聞こえたのは水口の言葉。やはりユイちゃん派だったと言ったのだが2つ目のメッセージは

水口琢磨「だけど君はその逆風の中で4ヶ月かけて君の立ち位置を獲得した。もう君はユイちゃんの相方じゃないよ。GMTの天野アキだ。訛ってるけど、40位だけど、最下位だけど…」

こう言っている最中にGMTのメンバーがやった来た。3つ目のメッセージは

水口琢磨「それがどうした。水口です。それがどうした。誰がなんと言おうと君の代わりは君しかいないんだよ。その君を売り出すことがマネージャーとして僕の…」

長くなったのでここからは留守番電話を吹き込んだ人を挙げていこう。

それを聴き終わったタイミングでユイがやってきた。思わずアキは漁師小屋に閉じこもってしまった。

水口琢磨「なんだよ、もう少しだったのに。」

だが意見の違う者がいた。忠兵衛は水口が17時の新幹線に乗ると聞いて「帰るってよ」と言った後

天野忠兵衛「やっぱりユイちゃんじゃねえとダメみてえだな。」

なお水口はユイが「アキちゃん」と声をかけるのを観て驚いたようだ。そしてアキとユイは二人っきりで話を始めた。お互いに自分の行ないを詫びた。アキはああ言われて

天野アキ「モチ、モチが、…」
足立ユイ「モチベーション?」
天野アキ「んだ。」

と言う小ネタが挟まれた後、意義を見失ったとアキは言った。ユイは謝った。天野春子は天野夏のせいにして乗り越えられたという話を水口にしていたが当の天野夏は

天野夏「オラはもっとシンプルだ。海のそばさ生まれたから潜る。それだけだ。」

と言うのだった。そして結局

足立ユイ「あたしのためじゃなくて自分のためにやってみなよ。」

と言う結論に達したようだ。

足立ユイ「やってみなよ。あたし、観てるから。」

この言葉が最終的にアキの心を動かした。ユイは色紙を持ってきていた。そしてアキにサインを頼んだ。

足立ユイ「ありがとう。大事にする。」

さて水口は夏と春子にこう言った。

水口琢磨「正直二人ともブレークするのは無理だって初めから思ってました。でどっちかって言ったら、ユイちゃんの方が。」
天野夏「とうとう、本音が出たな、水口。」
水口琢磨「でも、今回、改めて自分の中でアキちゃんが、アキちゃんの存在がこうクローズアップされてることに気がつきました。なんだろう。なんかこう、可愛いですよねえ。」
天野春子「気持ち悪いぞ、水口。」
水口琢磨「だから東京帰ったらちゃんと本気で戦略練って売り出そうと思ってます。」

ここで夏の指摘により、もう出なくてはならない事に気がついた水口は立ち去った。そしてアキとユイは自転車を乗り回した後

天野アキ「夏バッパ。やっぱりオラ東京さ行く。」
天野夏「そうか。せいぜい頑張れよ。」

と言うのであった。