借金(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第10話「女房無用」(脚本:中村勝行、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

寅の日になったのだが、おていと正八は途方に暮れていた。念仏の鉄の姿が見当たらないからだ。四方八方探してみたが見当たらないので二人は巳代松のところへ行った。

おてい「本当は今日、寅の日だっていうのにさあ。まさか忘れてるんじゃないでしょうね。」
正八「今日、仕事とってもらわないと困るんだよなあ。博打の負け、だいぶたまってさあ。」

巳代松はこう言った。

巳代松「しょうがねえなあ、鉄の野郎もなあ。」
正八「心当たりないかねえ。」

巳代松の心当たりは

巳代松「奴が行きそうなところっちゃいや、一つしかねえよ。」
おてい「どこよ?」
巳代松「女郎屋だ。」
正八「あの野郎。行こ。」

巳代松の心当たりは的中。念仏の鉄は女郎屋にいた。金がなくて出られなかったのだ。

念仏の鉄「だから足りねえ分は後で必ず、必ず持ってくるって言ってるじゃないか。いい加減、勘弁してくれよ。大事な仕事があんだから。」

この言い訳は通用せず、鉄は足止め状態。女郎が三人と遺り手婆さん(木下サヨ子)の四人も部屋にいたのである。なので足止めを食っていたのである。とそこへやってきたのは

正八「鉄屑!」

地獄に仏とはこのことだ。

念仏の鉄「正八! (遺り手婆さんに)婆さん、婆さん、こいつ借金の片に置いとくから。な。よろしく。(正八に)悪いけど、ここら辺で転がっててくれ。」

聞いてないよーと、転がされた正八は文句を当然言ったのだが

念仏の鉄「ガタガタ言うなよ。ババア、何かあったら、こいつ叩き売って、良いからな。悪く思うなよ。」

慌てて寅の会へと向かう鉄であった。