情報漏洩(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第15話「密告無用」(脚本:保利吉紀、監督:大熊邦也 (C) 松竹)より

おくめ(岡まゆみ)は思い詰めた顔をして川に身を投げようと下駄を脱いでいた。そして飛び込もうとした、その時、お堂に巳代松がやってきたのに気がついた。思わずおくめは近くの小屋に身を隠したが、巳代松はそれに気づかず、仕置を遂行。今回はたった一両で雑魚を仕留める仕事だったので巳代松一人がやることになったのだが…

それからしばらく経ったある日、巳代松のところにおくめがやってきた。そしてこう言った。

おくめ「人を殺して欲しいんです。」

これが巳代松の災難の始まりであった。

おくめ「見ましたよ、夕べ。」

巳代松の表情が変わった。殺す相手は

おくめ「近江座の菊之丞(板東三津志郎)。頼みましたよ。」

その一部始終を念仏の鉄は盗み見ていた。立ち去るおくめを追いかけようとする巳代松を引き留め、鉄はこんなことを言い出した。

念仏の鉄「松。やるなあ。いつの間に叶屋に出入りしていたんだよ。」
巳代松「叶屋?」
念仏の鉄「鳥越の女郎屋。今のは看板女郎のおくめ。」
巳代松「女郎か。」

とりあえず相手の身元がわかって一安心した巳代松だったが鉄はなおもからかい続けた。

念仏の鉄「何したんだよ、何したんだよ。」
巳代松「なんでもねえよ。」
念仏の鉄「なんでもねえってことはねえだろ、深刻な顔して話してたじゃないか。」

ついに巳代松は鉄を叩き出してしまったが、なおも鉄は障子を破って、こう言った。

念仏の鉄「いい年してわるデレしちゃって。」

そして立ち去ったのだが、その後も必死におくめを探し回る巳代松をみて

念仏の鉄「陽気のせいかなあ。」

念の為、鉄は主水に人別帳でおくめの素性を調べさせるのであった。