練習(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第20話「善意無用」(脚本:中村勝行、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

軍鶏の清吉(松山政路)は木曽屋善兵ヱ(稲葉義男)に町年寄喜多村勘右ヱ門(永田光男)殺しの罪を着せられてしまった。実行犯は善兵ヱの息子の徳之助(高峰圭二)と善兵ヱの部下の吉次郎(時代吉二郎)。それを勘右ヱ門の娘のお加代(森川千恵子)は知っていたのだが、彼女の目の前で捕り方によって清吉は殺されてしまったのだ。なお清吉は乱暴に遭っていた加代を助けたのだが、暴力沙汰を起こして遠島になった過去があり、島から帰った後は観音長屋に住んでいた。

そして寅の会。挙句は

芝蔵も
これが見納め
木曽屋かな

虎漫筆

頼み料は二十五両。最終的には念仏の鉄が十五両で競り落とした。

さて巳代松が木曽屋を殺すことに決まったのだが、ここで問題が発生。木曽屋は毎晩念仏を唱える習慣があり、外からそこを狙い撃とうとしたのだが

正八「どうしたの?」
巳代松「ダメだ。」
正八「なんで?」
巳代松「格子の間が狭すぎらあ。ちょっと自信ねえなあ。」
正八「どうもクルッと回って見たけどあいつの姿見えるのはここだけだよ。」
巳代松「兎に角、今夜は退散だ。行こうぜ。」

と言うわけで竹藪の中で巳代松は練習。まず一発撃ってみると

正八「やったあ。」
巳代松「次。」
正八「はい。」
巳代松「気をつけろよ。」
正八「大丈夫。どうぞ。」

二発目も命中。

正八「またやったあ。ねえねえ。その腕だったら大丈夫だよ。」

巳代松は清吉についてこう言った。

巳代松「あのうすらバカ、」
正八「え?」
巳代松「死に急ぎやがって。」
正八「あ、清吉のこと?」
巳代松「生きるのが下手な野郎なんだ。」
正八「恨みだったらさあ、俺達晴らしてやったのにねえ。」
巳代松「正八、今夜やるぜ。八丁堀と念仏にそう伝えてくれ。」
正八「わかった。」

巳代松の竹鉄砲が命中。そして巳代松は木曽屋を撃ち殺し、鉄は徳之助を殺し、主水は吉次郎を殺すのであった。

なお、今回、おていは登場しない。