エージェント その2(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第17話「代役無用」(脚本:保利吉紀、監督:高坂光幸 (C) 松竹)より

agua.jpn.org

第17話「代役無用」1977.5.13

 ふとしたことで幼馴染の友吉と再会する正八、今宵祝言という友吉は新居に帰らず酒を浴びる。不審に思った正八は見張るが、判明したのは彼らが偽装結婚させられているという事実。勤め先の甲州屋が手をつけた女中・おいとを家つき娘の女房から隠すためだった。苦悩する若い二人、束の間心通じ合い甲州屋から離れることを決意するが、友吉は雇われた殺し屋に消されてしまう。おいとは正八のもとに駆け込み、ここから殺し屋と仕置人たちの死闘がはじまる。
処々にきれいな回想イメージ入る正ちゃん主役の一編、本人の歌う挿入歌もあり。火野正平がメインになるときは、長七郎だろうが商売人だろうがたいてい近しい者が不幸のどん底に叩き込まれる設定なのは絶対あのえぐえぐ泣く正ちゃんの画が欲しいからだな、と忖度してみる。

 ロケ地、甲州屋が折れてくれたと思いおいとのもとへ走る友吉、回想の犬コロのように戯れる幼時の正八と友吉、河原の友吉の墓、罧原堤付近か。

友吉を演じるのは桜木健一火野正平とは関西での子役時代からの付き合い。事務所も当時は同じ星野事務所。近藤正臣も星野事務所で火野正平が今の芸名になるきっかけとなった番組「国盗り物語」もその縁で決まったのだ。なお星野事務所は現在は社長の代替わりに伴いシーズ・マネージメント株式会社に改名し、火野正平近藤正臣は所属しているけれども桜木健一は移籍している。

さて正八も友吉も甲州出身。油問屋の甲州屋で働く友吉が、同じ甲州屋で働くおいと(志摩みずえ)と祝言を挙げるという日に再会し、正八が祝い酒を持って行ったのだが、友吉の様子がおかしいことにも正八は気がついた。正八を連れて酒を浴びるように飲んでなかなか帰ろうとしない。実はこれは偽装結婚甲州屋宗兵ヱ(高木均)はおいとを愛人にしていた。隠居の喜左ヱ門(志摩靖彦)はそれに気づくが宗兵ヱの雇った殺し屋に殺されてしまった。正八は相談しまくるが主水は深入りするなと言い、念仏の鉄は

念仏の鉄「まあ、つまり、その、初夜にもかかわらず、その若夫婦は何もしなかったとそういうわけだ。」
正八「おかしな話だろう。」
念仏の鉄「そのう、それはだね、結局のところ、男の下の方が勃たなかったっと、近頃、若者にそういう例、非常に多い。(正八、黙って立ち上がって振り返り帰ろうとする)つまりその、極度の緊張感による(正八、履き物を履き始める)劣等感の刺激によって海綿体への(正八、外へ出始める)充血感、疎外感と開放感、(正八、戸を閉める)これによって(正八が出て行った事に気づく)。」

という感じで巳代松も放っておけと言うばかり。

しかし、友吉とおいとが宗兵ヱと手を切ろうと決意したところから事態が急変。友吉は殺されてしまい、おいとは正八のところに逃げ込んだ。正八の絵草紙屋を殺し屋が見張りまくる事態となったため、否応なく正八や鉄達は事件に巻き込まれてしまい、正八が十五両を工面。

油屋の
正体みたり
宗兵ヱかなあ

虎漫筆

念仏の鉄が七両二分で競り落とした。さて殺しの分担は

  • 念仏の鉄:殺し屋の米八(渡辺高光)と源七(吉田聖一)
  • 巳代松:殺し屋の久六(宍戸大全)
  • 中村主水甲州屋宗兵ヱ

中村主水が宗兵ヱに言う

中村主水甲州屋、友吉に線香あげさせてもらったぜ。おいとはいくら待ってもけえってこねえ。」

も傑作だ。

事件解決後、友吉の墓参りをするおいとと正八。おいとが去るのを観ながら正八は墓の前で

正八「友、ゆっくり寝ろや。」

と言いながら正八も青空の下、墓の前で寝るのだった。なお劇中歌「想い出は風の中」を歌うのは火野正平桜木健一である。