過去事例 その2(あまちゃん)

あまちゃん 第14週「おら、大女優の付き人になる」第83話(脚本:宮藤官九郎、演出:吉田照幸 (C) NHK)より

今日もユイ(橋本愛)は荒んだ生活を送り、スーパーで万引をしようとした、その時

天野春子(小泉今日子)「ダメだなあ。もっとうまくやんなきゃ。」

現場を押さえられ、そのままリアスへ連れ込まれた。リアスは「貸切」の札が出され、中に入れない勉さん(塩見三省)は中を覗くしかできなかった。

吉田正義(荒川良々)「(北野武のモノマネで?)勉、この野郎。何してんだ。勉ハー。」

勉さんは黙って札を指差した。

吉田正義「貸切?」

そして勉さんと一緒に吉田も覗き始めた。

さて中では春子がユイにナポリタンを出していた。

天野春子「ほら。あばずれの食いもんだよ。」

ユイは手をつけようとしなかったが、春子はユイの対面の席に座った。

天野春子「昔のドラマや映画の不良でさあ、みんなナポリタン食べるんだよねえ。粉チーズかけて。いいから、食べなよ。くっちびるテッカテカにしてさあ。」

さらには

天野春子「なんか昔の自分見てるみたいだわ。」

この言葉自体はかなり前から言っている。さて今度はユイの髪のことをブリーチだの脱色しているだの言った後

天野春子「警察電話しても良いんだよ。それとも、アキに電話しようか?」

この言葉は効いた。

天野春子「そっちの方がやなんだ。そっか、そっか。警察よりアキの方が嫌か。」

そしてガラケー(なお勉さんは既にスマートフォンを使用)を春子が手に持つと

足立ユイ「なんなんですか。」

ユイは春子の術中にハマり口を開いた。ほっといてくださいというユイを春子は嘲笑。

天野春子「東京行くーって大騒ぎしたくせに?」

大人が勝手に騒いだと小声でほざくユイに対して

天野春子「ま、どっちでも良いけど。一つだけ約束して。お母さん(八木亜希子)のこと恨んじゃダメだよ。お母さんの家出とあんたの脱色は無関係。」

ユイは何も言えなかった。

天野春子「行きたきゃ行きゃ良いじゃん、東京に。どうせ学校行ってないんでしょう。お父さんの世話もしてないんでしょう。」

ユイは春子を睨みつけたが

天野春子「うん、それで? プラプラして、万引して、夜は先輩の車でスピード違反してんでしょう。だったら行きゃ良いじゃん。こんな田舎で燻ってないでさあ。」

ユイは黙ったままだった。

天野春子「親のせいで夢諦めたとか、誰も同情しないからね。」

本当は同情しているのだが、春子は敢えてこう言い放った。ユイの表情が徐々に変わり始めた。

足立ユイ「今更」
天野春子「今更?」
足立ユイ「今更行ってもしょうがないじゃないですかあ。」

今度は繰り言を色々と述べ始めるユイだったが春子は敢えて言わせた。プライドが許さないことを春子は見抜いていたのだがユイは否定した。そして

天野春子「アキに電話しーようっと。」

そして電話を始めた。いつの間にか、大吉と保も覗き込んでいた。

天野春子「もしもし。アキ? うん。今さあ、リアスにユイちゃん来てるんだなあ。あんたのことダサいって。アイドルなんかダサくてしょうがない…」

ユイは脱兎の如く立ち上がり、春子からガラケーを奪い取った。もちろん、これは春子の狂言。トドメの一撃(大門豊談)が放たれた。

天野春子「プライドあんじゃん。」

ユイは何も言えなかった。

天野春子「カッコつけてんじゃねえよ。18の小娘が。」

ユイは席に座り、ナポリタンを食べ始めた。春子はドアを開け、覗き見していた連中に言った。

天野春子「今だよ。」
大向大吉「今?」
天野春子「慰めてやりなよ。」

春子は外に出て行き、覗き見していた連中は中に入ったのだが、皆、慰め方がわからず困り果て、ユイは涙を流しながらナポリタンを無言で食べるのであった。なお最終的に勉さんが粉チーズをかけてあげたようである。