低賃金(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第27話「約束無用」(脚本:野上龍雄、監督:工藤栄一 (C) 松竹)より

これは巳代松が佐渡に流されていた時の「恩人」である仙三(綿引勝彦)が標的となって苦悩する話で、このコンビが作るので名作なのだが、ネタになりそうなのは、多分、この部分だけ。

さて寅の会。

吉蔵「まことに申し訳ございませんが、本日の挙句はあまりに不出来でございますので、ご披露を見合わせていただきたいと元締より申し出がございましたが、如何なものでございましょうか。」

鉄がこう言った。

念仏の鉄「いや、句が作れないんならともかく、あるんならやってもらおうじゃありませんか、なあ、皆さん。」

と言うわけで

吉蔵「ご披露いたします。
島抜けの
穴倉作り
仙三
島抜けの
穴倉作り
仙三
虎漫筆。」

だが大きな問題があった。それが「不出来」の理由である。

吉蔵「それでは、この一件、セってもらいます。頼み料は二分です。」

なんと

念仏の鉄「ちょっと待ってよ。二両の間違いじゃないのか。」

だが

吉藏「ですから、不出来だと申し上げたんです。一両の半分の二分でございます。」

うーむ。

念仏の鉄「冗談じゃねえよ、何言ってんだよ。」

だが

お梶(田口久美)「二分。」

驚く鉄。

虎「この命、二分にて落札。」

この後、鉄は巳代松のところへ行き、スイカを落として割って「食えよ」と言い、この件を話すのだが、

念仏の鉄「ものは考えようだよ、まっちゃん。たった二分の端金で競り落とす奴もいるんだから。」

と言い出したところから話の流れが変わってくるのである。

殺しをやりたくて仕方のない念仏の鉄さえ「端金」と言い切る安値で競り落とすにはそれなりの理由があるのだが、それについては映像でご確認を。