同期(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第28話「妖刀無用」(脚本:和久田正明、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

さて念仏の鉄の後ろには借金取りが並び、集団を作って後ろについて回っていた。鉄が歩くのをやめると借金取りの集団もピタッと止まる。鉄が歩き始めると借金取りの集団も歩き始める。そして鉄が走り始めると借金取りの集団も走って追いかけた。鉄の動きと同期している感じである。

そして鉄が行き着いたところでは巳代松が鍋をなおしていた。鉄と借金取りの集団の様子を見て

巳代松「お、おい、鉄。何してんだい。」
念仏の鉄「恥ずかしくってどこも行けやしねえよ。」

とか言いながら、鉄は巳代松に近づいていった。借金取りの集団も当然、巳代松のところに近づいていった。

巳代松「銭払ってやりゃいいじゃないか。」
念仏の鉄「ありゃ、苦労しねえんだよ。」

そして鉄は巳代松の財布を手に持ち、紐が巳代松の体に繋がっていたので取ることなどできなかったが、とりあえず、逆さにしてみたのだが

念仏の鉄「こんなもんじゃ一人も帰りゃしねえよ。」

相当借りているらしい。鉄が座り込むと借金取りの集団も座り込んだ。

巳代松「おい、頼むからよ、あっちへ行ってくんない? 商売の邪魔だよ。」

とりあえず振り返ってもと来た道を鉄が歩いて戻ると集団も振り返って歩き始めた。そして隙を見て鉄は横道に曲がって走ったのだが、借金取りの集団もそれに気がついて鉄を追いかけ始めた。

そしてこれで終わるかと思ったら、鉄は正八の絵草紙屋に到着。鉄が店の中に入ると一人ずつしか通れないので借金取りは順番に列を作り、絵草紙屋の中に入る。

念仏の鉄「正八、正八いるか?」
正八「金ないよ。」
念仏の鉄「え、ないの? ごめんね。」
正八「ないよ。」

そして鉄は店の外へ出て走り始めたのだが、それと同期を取るかのように借金取りの集団も鉄を追いかけるのであった。