過去事例(必殺仕置屋稼業)
必殺仕置屋稼業 第24話「一筆啓上 血縁が見えた」(脚本:猪又憲吾、監督:田中徳三 (C) 松竹)より
さて本編は悲惨な話が待っていた。こればかり書いているような気がするねえ。
丹波屋で育てられたおかよ(宮前ゆかり)は丹波屋の先代の女将おせき(近江輝子)を殺した人物(この時点では犯人が不明)の殺しをおこうに依頼した。そこで仕置屋が調査に乗り出したのだが市松の調査でその犯人は丹波屋助右ヱ門(中村錦司)の後妻におさまったおきぬ(荒砂ゆき)と彼女の仲間である伝蔵(長谷川明男)である事が判明した。色んな店のおかみを殺して後添えに入り、主人を殺して店を売り払い、旅に出て、別の場所で犯行を繰り返すというのがその手口だった。分かっているだけでも四人の人間を殺していた。だが大きな問題が発覚。なんとおきぬの前名はおこまでおかよの生き別れの母親であることも判明したのだ。つまり、おかよは実の母親殺しを依頼したことになる。これに関しては仕置屋で意見が分かれてしまった。
捨三「人間とは思えませんねえ、その女。許せないなあ。」
印玄「いるんだ、そういう母親が。」
そう。印玄は実の母親を間男ごと殺した過去があった。
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おかよにおきぬが母親であることを知らせるかどうかで意見は割れてしまった。印玄は
印玄「知らせることはねえ!」
捨三は
捨三「印玄、気持ちはわかるけどよ、な。」
と知らせるべき、というか、仕事自体をやめようと考えている節がある。さて市松の意見は
市松「知らせることはねえだろう。」
それでも捨三は納得できず
捨三「旦那、頼み人はおかよなんですぜ。おかよの気持ちを聞かずにそんなあ。」
興奮した印玄が捨三に飛びかかった。
印玄「おらあなあ、お袋と承知で自分の手で殺した。だがお袋だとは聞きたくなかった。知らない方がどんなに幸せだったか。」
最終的に主水はおこうを通しておかよの気持ちを確認させることにした。
さて捨三はおかよを呼び出し、おこうのところへ連れてきた。おこうは言いにくそうにこう尋ねた。
おこう「もしも、もしもでっせ、あのおきぬという女がおかよちゃんのお母さんやったら、それでも殺せまっか?」
おかよは驚いたが毅然としてこう言った。
おかよ「私のおっかさんは亡くなった女将さんより他にいません。」
直後におきぬが自分の実の母であることに気がついたが、それでも決意は変わらなかった。
おかよ「おばさんの言うように、もしあのおきぬが私の生みの親だとしても、きっとおばさんと同じように頼んだと思います。」
かくして
おこう「(主水に)やっておくんなはれ。」
となり、仕置の分担は
- 伝蔵:印玄(車にはめて屋根落とし)
- 伝蔵の部下二人:中村主水
- おきぬ:市松
となったのであった。