事後処理(必殺仕置屋稼業)

必殺仕置屋稼業 第11話「一筆啓上 悪用が見えた」(脚本:中村勝行、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

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第11話 一筆啓上悪用が見えた 1975.9.12

 次々と手柄を立てる岡っ引・黒門町の佐平次。しかし裏では弱味ある人間を脅し大金を巻き上げるというとんだ悪党。
魔手にかかり、何の罪も無いのに島送りにされ帰還後も陥穽に落ちる男。島送りを自分のせいと思い強請りに応じるが、空しく目の前で男の死を見る女、そして女は仕置屋を求める。

 ロケ地、佐平次の脅迫現場となる神社、今宮神社(境内、石橋)。印玄屋根落しの下谷正慶寺、今宮神社東門(門扉は閉まっている)。
*手下の駕籠かきは印玄がダブル落しで始末、佐平次の仕置は市松が実行、主水は死因を取り繕い事件とならぬよう計らう。

黒門町の岡っ引と言えば中村梅之助中村梅雀が演じた伝七親分が思い浮かぶ。今の上野の辺りである。黒門とは寛永寺の門を指しているが現存しない。

だが今回登場する黒門町の左平次(大木実)はとんでもないワル。駕篭屋 源造(鶴田忍)と駕篭屋 辰次(小林尚臣)を使って情報を集め、強請りたかりを働くのだ。仕立て職人の伊三郎(平泉成)は源造と辰次がお栄(松本留美)をかどわかそうとしているのを見かけて助けたのだが、そこに黒門町の左平次がやってきて揉み消しただけでなく、冤罪で島送りにされてしまった。当然、お栄は伊三郎を気にかけるのだが、この件で左平次はお栄を強請り、百両を取り、さらに源造と辰次は自分達の取り分が欲しいため五十両を要求。それが即座に左平次にバレるから余計な事をしたもんだ。最終的に伊三郎はお栄の目の前で左平次に殺されてしまった。

だが悪い事はできないねえ。お栄はおこうと知り合いだったため、彼女に相談。最終的に仕置屋が出動するのである。

市松はやる気満々。鎖帷子を左平次が着込んでいると聞いて練習する始末。

駕籠屋の2人は印玄が屋根の上にあげて両手で

印玄「逝け!」

と背中を押して同時に屋根落とし。主水は医者の良庵(柳沢真一)と飲めない酒(この頃はまだそういう設定)を番屋の前の屋台で飲み、さりげなく監視。市松が左平次を見事やったのを見届けると良庵を番屋へ連れ込み、酔った状態で左平次を診断させ

良庵「心の蔵の発作」

と言わせて検死報告書まで書かせた。医者の言っている事だから間違いない。そして与力 村野様に報告した。つまり主水は事後処理に終始したので今回、主水の殺しはないのである。