フィクションなどから拾う情報処理用語? その60 スパイウェア対策? (必殺仕置屋稼業)

必殺仕置屋稼業 第2話「一筆啓上 罠が見えた」(脚本:中村勝行田上雄、監督:松本明 (C) 松竹)より

 

さて「必殺仕置屋稼業」では中村主水中村せん(とりつ)から送り込まれたスパイウェアもとい亀吉(小松政夫)がひっついていることが既に描かれているのだが、この人物をどうやって引き離すのかもこのドラマの見所…になるはずで、「太陽にほえろ!」やら後の「ザ・ハングマン」シリーズやら「ルパン三世」などでも炸裂する難関突破編を得意とする中村勝行さん(後にレギュラー入りする中村敦夫さんの弟)の脚本とあって…と思ったら、実際は田上雄さんが脚本を書いていたのだが、この話では結構、あっさりと亀吉は突破されているのである。でも仕事している時もあるのでややこしい。本当に役に立つのかどうかはよくわからないというのが実情なのだ。それを一応書いて行こう。

まず初っ端で中村主水はある事件の探索を亀吉に行かせてしまう。なので、亀吉が戻ってくるまで(だと思う)は自由に振る舞い、ついには同心の服を脱いでサボった挙句におはつ(石原初音)と出会い、

主水「産毛が生えてやがら。」

と言い放ち、店の中にまで入ってしまうという奔放さ。もしかしてロリコンなのか、主水は? どうもそうらしく、困ったことにほぼ毎回、店へ通ってしまうのである。なお石原初音さんはおはつ役のために一般公募に応募して芸能界入りしましたが、特捜最前線にも後に出演しました。それについては「脚本家長坂秀佳氏ファンのためのホームページ」が詳しいかも。引いちゃうかも知れませんが。

そして今度は捨三が働いている風呂屋の釜場(ここがアジト)に入る時も、亀吉を表に立たせて「風呂から出るまで待っていろ。」と待たせ、彼は女湯に入り(これ自体は「必殺仕置人」でも描かれている)、釜場に難なく入場可能。結局、亀吉は仕事しているのかねえ、と思うかも知れない。

だがその視聴者の考えは甘い(?)。あれでも見せ場は用意されている。自宅に戻れば主水が「母上が危篤」と言って早退けしてサボったのがしっかり(亀吉経由で)バレ、せんが白装束着て「自害いたします」というハッタリブラフ攻撃に主水慌てる凶悪な展開…その後、主水は亀吉を殴ってCMへ入るのであった。

結局、あまり亀吉対策もといスパイウェア対策としては特殊な手段を使っていないように思えるのだが、一応、亀吉は彼なりに番組もとい中村せんの役には立ち、何故か「新・必殺仕置人」にも1話だけ、チュチュンがチュンとどこかで聞いたような踊りを見せながら再登場を果たすのであった。