回避(暗闇仕留人)

暗闇仕留人 第12話「大物にて候」(脚本:猪又憲吾、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

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第12話「大物にて候」1974.9.14

 捌き屋の小兵衛は役人も恐れる闇の世界の大物、その甥・長一郎は手先となって荒っぽい手口で富商乗っ取りを働くほか市中で無体の限りを尽くす。姪もいて、こちらは男狂いで、つれなくされたなどの益体も無い理由で殺し屋を差し向けたりする。そんななか、正義漢の北町同心が彼らを調査中陥穽に落ち親族を悉く殺されてしまう。次いで主水が衆人環視のなか殺しを仕出かした長一郎を捕えてしまい狙われる仕儀となり、動けぬ彼の代わりに他のメンバーが小兵衛殺しに奔走。その過程で、斬り込んで失敗した北町同心から貢が恨みを託されることとなる。

 ロケ地、北町同心の妻の父母が殺される、柊野堰堤落差工下の大岩前(老妻は軽石を求めている…火山灰土壌の西山、練馬あたりか)。おなつの使嗾で殺された役者の死体が上がる河原、桂川松尾橋付近汀(おなつが駕籠から見て薄笑いは右岸堤上)。小兵衛の屋形船に言い訳しに行く北町与力、大沢池。北町奉行所、京都御所管理事務所北門(ツナギの場面で塀も多用)。小兵衛が出席の香の会が開かれる、中山邸通用門。

あらすじは上記の通り。中村主水とも旧知の同心関根啓之進(亀石征一郎)が捌き屋の小兵衛(永井智雄)の関わる事件を調べたのが事の発端。関根の両親が小兵衛の手の者に殺され、関根の妻たえ(真鍋明子)は小兵衛の甥・長一郎(太田博之)の妾にされてしまい、関根も同心をやめてしまった。そして、たえが長一郎殺害を図って失敗し、街の中で長一郎がたえを殺してしまい、行きがかりで中村主水が長一郎を捕まえてしまったから、さあ大変。

鉄砲玉のおきん「やばいよ、これは。」

主水の屋敷は酷い目に遭わされ、中村せんとりつを妙心尼の寺に避難させる羽目に陥った。そして主水は旅に出て逃げようとしたのだが、今度は小兵衛に呼び出され、長一郎の姪のおなつ(伊佐山ひろ子)同席で長一郎脱走を強要される始末。窮した主水は半次を微罪で捕まえて小兵衛の始末を依頼。主水自身は仮病で北町奉行所に引き籠る作戦をとることにした。

ところがそう甘くはない。小兵衛と同心の今岡弥九郎(山本清)は通じており、主水は刺客に襲われた。主水は刺客を返り討ち。外を通り掛かった糸井貢に投げ文でその事を知らせた。

さて半次が小兵衛の亡き妻の法事が行なわれているという情報を得たので、貢がその寺に潜り込むことになった。確かに小兵衛もいたのだが、関根も同じ寺に潜り込んでおり、襲いかかったため、未遂に終わった。だが貢は

関根「小兵衛を、小兵衛を殺してくれ。」

という頼みを聞く事に成功。お金も託された。

半次と大吉は今岡を尾行したが、その目の前で殺害された。最後の頼みの綱が切れた…かに見えたが、主水から貢が情報を得た。小兵衛は香が趣味だというのだ。香の会の開催場所を探れば小兵衛の居場所がわかるかもしれない。最終的にはこれが決め手になった。

小兵衛の部下を貢が仕留めた。事後の貢の表情はやはり複雑なもの。小兵衛自身は大吉が仕留めた。なお、おなつは小兵衛が死んでいるのを見て驚いて走ったが、転んだ拍子に貢が始末した部下の持っていた匕首が刺さって死に、長一郎は死罪になり、主水は無事に帰宅できたのであった。明確に描かれてはいないがせんとりつも帰宅できたのだろう。

余談だが、長一郎を演じた太田博之は必殺仕掛人で櫓の万吉を演じており、頼み人の同心を演じた亀石征一郎は悪役が多い人だが新・必殺仕置人でも南町奉行所の堅物の同心を演じている。こちらは鉄球が激突してパリーンと顔が砕けて死ぬ最期を遂げている。