オーナー(必殺仕置人)

必殺仕置人 第24話「疑う愛に迫る魔手」(脚本:松川誠、監督:長谷和夫 (C) 松竹)より

今回、中村主水は出ないのだが、鉄達4人にとっては大切な話。何しろ、かんのん長屋のオーナーこと大家である喜助(美川陽一郎)が被害者なのである。

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第24話「疑う愛に迫る魔手」1973.9.29

 かんのん長屋に持ち上がる立ち退き騒動。潰した跡に女郎屋を建てる計画を角屋が立て、普請方組頭が後押し。大家の喜助は気強く断るが、盗っ人だった前身を娘にバラすと脅されやむなく諾。その娘は最近母を亡くし引き取ったばかり、心通い合わぬまま喜助は角屋の手先の岡っ引に殺されてしまう。また娘は岡っ引に人殺しと喚き、拉致され女郎たちの中に入れられこれも殺されてしまう。娘が殺されるのをなす術も無く見た錠たちは砦の築かれた長屋に死体を持ち帰り、仕置がはじまる。
*長屋に築かれるバリケード、半次の学生運動ふうのアジ、女郎たちの中に密かに生まれる連帯など70年代初頭を色濃く反映。

ロケ地
・喜助に頼まれ八王子在におとよを迎えに行く錠のくだりのみで、大半がセット撮り。
・野辺送りの農地は大沢池-広沢池間の農地か。
・おとよの母の供養を頼む寺、西寿寺(石段上部・本堂屋根を背景、境内芝地)。
・江戸へ向かう道中、広沢池西岸観音島。竹藪沿いの道は北嵯峨か。

おとよ(瞳順子)は八王子に預けられていたのだが、棺桶の錠によって連れてこられて実の父が喜助だというのだが、その事実をなかなか受け入れる事ができない。それと並行して角屋金蔵(加藤和夫)による地上げが進行。普請方組頭 高島主馬(守田学哉)と組んで角屋は女郎屋を建てようとしていたのだ。目明しの黒駒(玉生司朗)もついている。

喜助は地上げを突っぱねようとしたのだが、「暗闇の菩薩」という大泥棒だった過去をおとよにバラすと脅されて渋々承諾。かんのん長屋の住人は怒り、当然、おとよにも責められ、喜助は苦しんだが、黒駒に殺されてしまった。かんのん長屋の住人はバリケードを築いていたが、その立ち退き反対運動とは念仏の鉄は距離を置いていた。そして喜助の仕事、喜助の残した書置(二百両のお金付)を読んだ後、

念仏の鉄「無責任も行けねえが俺みてえな無関心もあんまり関心したもんじゃねえなあ。」

と言うのが印象的である。連れ出されたおとよの居場所をおきんと半次はなんとか突き止めたのだが、脱走に失敗したおとよは捕まり、黒駒の拷問を受けて責め殺された。半次がおとよの死体をおぶって帰り、錠と鉄は仕置を開始。

黒駒「(目の前にいる錠に)誰だ、てめえは?」
念仏の鉄「(黒駒を後ろから抑えて)かんのん長屋から家賃を払いに来た。」

そして黒駒は錠に刺殺され、角屋の部下の為吉(寺下貞信)も錠に殺され、角屋は鉄に殺された。最後に錠は高島主馬をぶっ殺し、かんのん長屋の立ち退き騒動は無事解決したのであった。