乗っ取り(暗闇仕留人)

暗闇仕留人 第25話「晒されて候」(脚本:松田司、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

糸井貢は村雨の大吉に連れられて島津家の中間部屋で開かれていた賭場へ行ったのだが、そこで女(中村玉緒)が大金を賭けで得たのを目撃した。その翌朝、その女お陽が心中者の生き残りとして河原に上がっているのが見つかり、高札場に晒し者にされてしまった。だがお陽曰く、心中はしていないと言う。しかもお陽は主水と因縁のある人物であった。お陽は元は女郎。今は米問屋の越後屋を女手一つで切り盛りしていたが、亡き夫が先妻との間に残した娘お道(桜井浩子)はお陽を嫌っていた。主水は上司に再吟味を願い出たのだが却下されて高札場の寝ずの番を命じられてしまった。お陽は三日後には無宿者として江戸所払いになる運命。仕方なく、貢達に話して裏の方から調べることにした。

まずお陽の話はこうだった。神田神保町に住む大島屋義平次(川合伸旺)がやってきて、お道が百両もの大金を借りていると言うのだ。その日のうちに百両を用立てなければ店ごといただくという証文まであったのだ。そこで貢と大吉が見かけた賭場の一件となり、見事に百両を得て、池之端の出会い茶屋へ行ったのだが、そこに来たのは大島屋の使いだという船頭 藤太(鈴木金哉)。彼の舟に乗って向かうことになったのだが、その船の中で暴漢に襲われ、心中者にされてしまったのだ。

そこで主水はその夜、おきんをお陽の代わりに高札場に座らせ、大吉にお陽を連れ出させ、船頭を探すことにした。だがその夜は船頭を見つけることができなかった。

次の夜。おきんに聞かれたので主水はお陽との件を話した。お陽は田舎から根津権現裏の岡場所に来た女で主水の初めての相手だったのだ。もう10年以上も前の話だった。

その頃、お陽は貢と越後屋の前で見張っていた。実は越後屋の番頭 荘助(小笠原良知)も大島屋とはグル。目的は越後屋を乗っ取って財産を総取りすること。その密談をお道が聞いてしまった。お道は殺されてしまった。そして船頭が越後屋から出てきたところを貢とお陽はつけた。そしてお道を心中に見せかけて晒すところを目撃したのだが、船頭は消されてしまい、お道も今までの行ないを悔いた後、息絶えてしまった。それを沈痛な面持ちで観る貢。

結局、お陽は江戸所払いとなり、品川で身を売って得た金八両で大島屋達を仕留めることになった。越後屋の番頭 荘助を貢が殺し、菊次を大吉が殺し、大島屋を主水が斬った。事後、品川でお陽が女郎をする様子が映り、主水が奉行所で饅頭を食べる様子が映って終わるのであった。