ハイジャック(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第31話「牢獄無用」(脚本:松原佳成、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

脚本を書いた松原佳成さんは『必殺シリーズ異聞 27人の回想録』で次のように証言している。

rittorsha.jp

-「牢獄無用」は牢屋敷が囚人たちに占拠される異色回です。
松原 ハイジャックがあるなら牢ジャックがあってもいいじゃないかという発想で、このような設定の類似作は見たことがありません。これは朝日放送の応接室に籠もって書いたシナリオでした。仲川氏が清書し、食事も運んでくれました。守衛さんがコーヒーを淹れてくれたり、蒸しおしぼりを作ってくれたりの応援で朝10時ごろに仕上がりました。仲川氏は「昼に印刷屋が来るから」と原稿を持って、すぐ京都に急行しました。
わたしの執筆はほとんど自宅でした。それ以外は曲ないとその向かいの「ホテルプラザ」ですね。やっかいな制約のあるホンは仲川宅で話し合いをしました。奥さんの料理つきなんですが、徹夜して1日半仕上げのようなものもありました。すごく荒書きなので、仲川氏が読みにくいところを清書したり、いいセリフが浮かばないときは考えてくれたりもしました。「かんのんホテル」で書いたことは一度もありません。

というわけで元ネタはハイジャックである。さてあらすじは次のとおりだ。

agua.jpn.org

第31話「牢獄無用」1977.8.19

 禁制品取り扱いのかどで欠所のうえ死罪となる鳴海屋、残された娘は寅の会に依頼、ターゲットは偽証の船頭頭・十郎太、付句あり。
標的の十郎太が牢内にいることから巳代松が潜入、しかしこの牢でとんでもない大騒ぎが持ち上がる。病身の奉行を人質に立てこもる十郎太たち、様々な策を用い解決に当たる奉行所の企みは、なぜか悉く失敗する。また、この騒ぎのため市中の警戒が薄れた隙に、両替商が次々と押し込みに入られる。この背後には、回船問屋・渡海屋と筆頭与力・高岡がいた。十郎太と密かにツナギをとり奉行所の計画を漏らす高岡、松は密書を入手し主水にツナぐ。囚人が解放され混乱するなか、仕置人たちがワルの背後に忍び寄る。

 ロケ地、小伝馬町牢屋敷近くでおていとツナギの主水、大覚寺勅使門橋。これを見る戦慄コンビ、大覚寺参道橋。
*高岡刑部に今井健二、凶悪な態度が見物。牢内で進行する仕立てもなかなか。*屋根の男は連絡無いのに焦れた鉄が垂れ下がる赤褌を引っ張り、落とされる。正八がどないしたんと尋ねるのに「落ちたー」。*松を牢に残したまま始動するチーム、正八が松っぁん死んだらこれでと竹鉄砲持って構えるのを戸口に立ってからかう鉄の仕草が面白い。*牢から出た松っぁんは正八の着物を脱がせ囚人服と替えるが、みごとに寸足らずなのが笑える。

さて挙句は次のとおり。

渡海屋の
牢に船出の
波荒らし

頼み料は三十両。念仏の鉄が十五両で競り落とした。なお付句がいくつかあり、その中の一人、鳴海屋で船頭をしていた常神の十郎太(清水綋治)は牢の中にいた。そこで巳代松が牢に潜入することになったのだが、巳代松が牢に入った直後、十郎太達4人の囚人が病身の南町奉行堀田内膳正(永野達雄)を人質にして牢に立てこもる事件が勃発した。要求は船を用意すること。異国へ渡るのだという。南町奉行所の与力高岡刑部(今井健二)は牢屋敷の与力石出帯刀(高野真二)と協力して対処したのだが、石出の発案の作戦は悉く失敗した。

これは裏があり、高岡と十郎太と渡海屋(穂高稔)がグルで、南町奉行所の注意が奉行所に集中している間に渡海屋の手下が他の回船問屋や両替屋を襲撃して盗みを働いていたのだ。そしてチームは始動。まず奉行を大八車に乗せて人質にとって出た囚人達を、久しぶりに『必殺仕置屋稼業』で作られた、その名も「主水」という専用曲がかかる中、主水が斬りまくり、後の分担は

となるのだ。