後任(必殺仕置屋稼業)

必殺仕置屋稼業 第21話「一筆啓上 逆夢が見えた」(脚本:保利吉紀、監督:大熊邦也 (C) 松竹)より

お話自体は結構凝っているのだが、ネタになりそうなのは冒頭と中間と一番最後の部分のみになるのかな。

さて冒頭、筆頭与力の酒井が死亡し、葬儀が行なわれていた。駕籠に乗って南町奉行鳥居耀蔵(志村喬)もやってきた。まあ、この時点では放送が終わっているが、『影同心』にも登場した鳥居耀蔵である。やはり『影同心』対策、と言うよりは当てつけで中村主水を北町奉行所から南町奉行所へ移したのかもしれないねえ。と言うのは本題ではないので置いといて、配役でわかる通り、既に初老。葬儀の場では酒井の後任をどうするのかと言う話で持ちきりとなった。葬儀が終わり、帰ろうという段になって事件は起きた。なんと鳥居が倒れてしまったのである。

鳥居耀蔵「うろたえるな。」

と平静を装う鳥居だったが、筆頭与力の後任はどうするのですか、と言う問いには

鳥居耀蔵「入れ札。入れ札で。入れ札でお前達三人のうちから選ぶんだ。」

とはっきり言った。

♪プー、パラン、パラン、パラン、デゥーン

♪デゥッデゥ、ジャカジャン、デゥッデゥ、ジャカジャン、ジャカジャン、ジャーン

と言うわけで日暮光吉(近藤宏)、水沼清之進(溝田繁)、樋口又二郎(千葉敏郎)の中から入れ札、要するに選挙で選ぶ事になった。本題もそれ絡みで事件が起きるのだが、このネタには関わらない。

さて大阪からは千里(花紀京)が研修に来ていたのだが、皆浮き足立っているので、研修にならないと賭けを始めて胴元になっていた。主水も一口乗らないかと誘われたのだが主水の予想はなんと

中村主水「ま、おそらく一票も入らないんじゃないかな。考えてもみなさい。あんなバカに大切な票を入れるもんがどこにいるもんですか。ま、入るとすれば、己が己に入れる一票ぐらいなもんじゃないですか。」

立ち去ろうとする主水に千里がこう言った。

千里「それやったら、一つ賭けてみませんか。」

主水はそれに乗り

中村主水「じゃあ、樋口に一票、水沼に一票、日暮に一票。」

と賭けた。ちなみに一口一文なので三文を主水は千里に払った。主水は立ち去ろうとしたが

千里「それから念の為に言っておきますが、寺銭二割はちょうだいします。」

しっかりしてるなあ、千里さん。

中村主水「流石、上方の方だ。しっかりしてますなあ。」

他にはないと言う主水。

千里「これでは商売にならん。」

とぼやく千里だったが、他の人も勧誘していた。

さて最後の場面は入れ札の結果発表…と思ったら、御奉行様の鳥居耀蔵が登場。なんと、このジイさん、こう言い出した。

鳥居耀蔵「何、筆頭与力だと? 誰がそんなことを命じた。わしが兼務すると言ったはずだ! 馬鹿者!」

は? さっきのあれは何だったの? だがそういう事になってしまい

鳥居耀蔵「村野、参考までに結果を読み上げろ。」

仕方なく与力 村野様は結果を読み上げた。結果は主水の予想通り

鳥居耀蔵「自薦の一票だけか。人望がないのう。」

主水と千里は目配せし合い

中村主水「ざまあみやがれ。見事な仕置きだ。ところで配当は…」

皮算用するのであった。